以前、こちら(【岐阜県】アニメ・漫画一覧)の投稿で少しだけ触れていて、詳細と感想をずっと書こうと思ってて書けてなかったですが、やっと書きましたるは妖怪漫画「もっけ」(勿怪)の感想記事です。多少は気を使ったつもりですが、ネタバレも多く含みます。
CONTENTS
1. 概要
2. 内容
3. 主要人物紹介
4. 感想
5. 見所
6. 見所(超個人的見解)
7. 終わりに
1. 概要
タイトル『もっけ』
作者は熊倉 隆敏(くまくら たかとし)さん。
巻数は全9巻、最終巻は2009年7月23日(木)に発売されており、そろそろ完結してから10年が経とうとしているくらいには昔の漫画。
大体の話が1話完結型。
主人公姉妹の姉:静流(しずる)視点で言うと中学3年生から高校2年生。妹:瑞生(みずき)視点でいうと小学5年生から中学2年生までの期間を大筋の流れとして描いています。
ただし、話数の連番が時系列になっていない場合もあり、瑞生が祖父の元に来る前のエピソードや、静流が小学生の頃のエピソードなどか途中に挟まる事もあります。また基本は各話ごとで静流視点か、瑞生視点かのどちらか片方の視点で描かれますが、同時期のことを静流視点で1話、瑞生視点で1話ずつ描かれた話も存在しています。
タイトルの 「もっけ」(勿怪)というのは、 物の怪・妖怪の類の事です。
2. 内容
視えちゃう姉と、憑いちゃう妹の妖怪物語。
(アニメ放映時のキャッチコピーより)
妖怪、怪異絡みのエピソードを交えて、二人の姉妹が成長していくお話。
3. 主要人物紹介
Wikipediaに行けば分かるので、ここではメイン3人と個人的に好きな人だけします。
「檜原 静流」(ひばら しずる)
主人公姉妹の姉。霊や妖怪など通常は眼に見えないものを視ることが出来る見鬼(けんき)の持ち主。黒髪ロングで大人しめの読書女子。
「檜原 瑞生」(ひばら みずき)
主人公姉妹の妹。妖怪に憑かれやすい依童(よりわら)の体質。ショートカットで元気なわんぱく女子。
「檜原」(ひばら)老人 ※お爺ちゃん
静流と瑞生の母方の祖父。物語中では二人の姉妹を導く立場で重要な立ち位置の割に、名前が一度も出ない。
元々は静流と同じ見鬼体質だけれど、修行の末に得た奥義により見鬼を制御しており必要な時にだけ視ることが出来る。
「伊福部」(いふくべ)老人
檜原老人の知己。かつて檜原老人とは同門で修行を積んだ人物。
4. 感想
この作品では、物怪をある種の現象や心情が具現化したようなものとして表現されている印象を受けます。意図してそういう描き方をしているんじゃないかなと思います。
妖怪漫画ではあるんだけれど、あくまで妖怪は話の内容を象徴する存在となっており、ほとんどが人間関係に悩むエピソードです。
日常の中でも当てはまるようなセリフが多く、人間というものを考えさせられます。
第4巻の第23話「ジャタイ」で静流は「私達も何にも思わなければ、見る事も憑かれる事も無いのかもね」と言ってます。たぶんそれが出来たら悩みなんて無くなるのかもしれないけれど、結局は瑞生の言うように「そりゃ難しいよ」というのが実際のところです。
あと、実家を離れて一人暮らししてる身としては、第6巻の第34話「オモカゲ」で檜原祖父の「生きてたって会えん時は会えん」というセリフは刺さりました。
この話を読むと、だったら生きてるうちに出来るだけ会っておきたいという気持ちになって、田舎のおばあちゃんに会いたくなります。
ただ、全体的に暗めの話が多い感じがするので、そういうのが向かない人には合わないですね。明るい楽しい感じの話もありますけどね。
5. 見所
5-1.静流と瑞生の成長と関係性
主人公二人が妖怪絡みのエピソードを通して、未熟だった精神が成長していく様が主な見所ですが、姉妹の関係を描くエピソードも良い。物語中盤で家を離れ一人になる事に不安な静流と、姉が家から離れていく事に寂しさを感じる瑞生を描くエピソードは実際に仲の良い兄弟・姉妹のいる人には共感できる部分もあるんじゃないでしょうか。
5-2. 登場する妖怪が個性的
登場する妖怪も全体的に攻撃的なのが少なく(中には危ないのもいます)愛らしいかったり、可笑しかったりするキャラクターが多く、読んでいて和みます。お気に入りは、第6巻の第33話「メクラベ」で登場する骸骨の妖怪。こいつの変態っぷりには笑いました。
個性的でない妖怪なんていないかもしれませんが。
5-3. 妖怪・民間伝承に関する薀蓄
静流と瑞生が出会う妖怪や体験する現象について、檜原祖父が解説や見解を述べてくれます。
5-4. 師弟関係
静流と檜原祖父は、娘と孫でありながら師弟のような関係性を感じます。瑞生は憑童体質であるのに対し、祖父と静流は同じ見鬼であることがそうさせるのかもしれないです。
6. 見所(超個人的見解)
ここからは、超個人的趣味の観点での見所なので、ご了承ください。
この物語の主人公は静流と瑞生の姉妹だけれど、姉妹の祖父である檜原祖父は二人を導いたり、見守ったり、重要な役割を担っています。また、登場回数は全話中でも数回と非常に少ないですが伊福部という老人がおり、彼と檜原祖父のやりとりのシーンがカッコいい。
伊福部老人の登場回数は上記の通り少ないけれど、この二人が相対するのは更に少なく、全9巻発刊されている本作ですが作中でこの二人が実際に会って対話をするシーンは第2巻の第12話「ヒョウタンナマズ」の一度だけです。
厳格な檜原祖父と飄々とした伊福部老人。対照的な二人の対話シーンは、思想対決を見せられているようで興奮しました。
『ライバルという関係性は、若者だけのものではない。』(by RfromL)
7. 終わりに
元号が「令和」となりましたが、この物語は昭和と平成の狭間のような雰囲気をまとっています。連載が開始した当時(2000年)は、携帯電話が普及し始めた頃ですが、作中の登場人物は携帯を所持していないです。
静流が寮から自宅に連絡する際も、寮に備え付けの供用電話を使っており、ノスタルジーを感じます。
アニメ化もされている作品ではありますが、伊福部老人がアニメでは一切登場しなかったことが個人的には残念でした。
二人の対話シーンはアニメでも見たかった・・・
ともあれ「もっけ」は好きな漫画なので今回紹介しました。
妖怪や伝承に関する薀蓄を楽しむもよし、檜原姉妹を愛でるもよし。見方は人それぞれですが、 僕は檜原祖父と伊福部の二人を推します!