ETFと投資信託 S&P500に長期投資するならどちらがいいか

僕は個別REITメインの個人投資家ではありますが、投資を始めた2015年の終わり頃。
当時、既にブログなどネットの投資界隈ではインデックス投資信託が流行っていたので少額ですが投資信託の購入もスポット購入と積立購入で行ってます。

2015年から5年が経った昨年2020年なか頃。オリエンタルラジオ中田敦彦さんのYoutube大学でお金の授業として、投資の動画が投稿されるようになってインデックス投資界隈がまた盛り上がっているように感じています。

中田あっちゃんさんは動画で米国株インデックス投資信託(S&P500)をおすすめしていました。
ただ、基本は本による紹介であるため、紹介する本が変わることで、ETFをおすすめする動画がある一方で投資信託をおすすめする動画もあります。

じゃあ実際のところインデックス投資をするならETFと投資信託。どっちで買うのが正解なのかということをS&P500に投資する場合で今回は書いてみようと思います。

また、ここでのETFは「バンガード S&P 500 ETF(ティッカーシンボル:VOO)」を基準として考えています。

CONTENTS

  1. どちらを買うべきか
  2. ETFと投資信託の違い
  3. ETFと投資信託のメリット・デメリット
  4. ETF・投資信託それぞれに向いてる人
  5. おすすめの投資信託
  6. おわりに

1.どちらを買うべきか

結論から言ってしまうと、ETFと投資信託どちらを買うのも間違ってないと思います。
が、結局はその人の資産状況・目的により以下で買い分けるのが良いと考えています。

  • ETF
    • 資産:既にある程度の資産がある人
    • 目的:もう資産をそこそこ作り終えたお金持ちが定期的に取り崩す手間を省きつつ資産運用する
  • 投資信託
    • 資産:資産がまだ少額の人
    • 目的:まだお金の少ない人がこれから資産を築いていく為に資産運用する

上記のように考える理由としては、ETFの方が信託報酬(年間の管理手数料)が安い一方で、信託報酬以外にかかるコストが投資信託と比べてかかってしまう為です。
詳細については後程説明しますが、少なくとも10代、20代の若い人で投資経験の少ない場合は、投資信託の積立から始めていずれはETFの買付も始めるという流れが良いです。

2.ETFと投資信託の違い

前項で述べた結論の説明に入る前に、そもそも両者の違いってなんなのかについて説明してみます。

ETFと投資信託というと別のもののように思えますが、実際はどちらも投資信託のことです。
違うのは取引(売買)の仕方です。

ETF(Exchange Traded Fund)

日本語だと上場投資信託という名前で、その名の通り証券取引市場(以下、市場)に上場している金融商品で、一般的な株と同じように証券市場で売買します。まあ証券市場って日本だとほぼイコールで東証(東京証券取引所)ですね。

投資信託

販売会社(証券会社、銀行、保険会社)を通して売買します。
ETF(上場投資信託)に対して市場に上場していない投資信託なので、非上場投資信託と言われることがたまーにあります(まあ極稀でほぼないです)。
またはファンド(資産運用のための金融商品、金融商品を運用する会社をひっくるめた呼び方)と言う時もあります(こっちは少し見かけます)がほとんどがそのまま投資信託と言います。略して投信ですね。

購入する側の気になる所としてはどっちがいいのかといったところなので
それぞれを比較した際のメリットとデメリットを次項にて記載します。

3.ETFと投資信託のメリット・デメリット

ここで記載しているメリット・デメリットはETFと投資信託で比較した場合でのメリット・デメリットですので、他の金融商品と比較した場合とは少し異なります。

ETFと投資信託で比較すると以下表のようになります。○がついている方が両者で比較してメリットとなる点、×がついている方がデメリットとなる点です。△は両者どちらにも優位性がない点です。

ETFと投資信託比較表

ETF投資信託
信託報酬○安い×高い
最低購入金額×高い○安い
分配金自動再投資×できない○選択可能
取引手数料△一部かからない△かからないものが多い
資金流動性○高い×低い

それでは上記の表をもとに詳しく説明していきます。

信託報酬

長期投資をする上で重要なポイントです。
信託報酬というのは、集めたお金を資産運用する際にかかる費用で、集まっているお金から運用会社に支払うお金です。ようするに運用会社からしてみたら、信じてお金を託されてるんだから報酬・手間賃くださいよ。の金額です。
同じ指標に連動したETF⇔投資信託で比較した場合、この金額が投資信託に比べてETFの方がお安いです。
この点はETFが優れています。

ただ、S&P500に投資する代表的なETF、投資信託を比較すると以下の通り、相対的には投資信託の方が3倍高いことになるのですが、0.0%以下の戦いなので正直誤差のような気もしますし、別の銘柄にはなりますが投資信託はポイントを貰うことも出来るのでポイント分で優位になる場合もあります。

銘柄名・ファンド名信託報酬
ETFバンガード S&P 500 ETF0.03%程度
投資信託SBI・バンガード・S&P500 インデックス・ファンド0.0938%程度

最低購入金額

投資(購入)する際に、必要となる最低資金額です。投資信託の場合、100円から1円単位で金額指定して購入することが出来る為、投資資金が少なくても始めることが出来ます。
対してETFは金額指定での購入は出来ず、口数指定(※1)での購入となります。
「バンガード S&P 500 ETF(ティッカーシンボル:VOO)」を例で言うと、この記事を書いている段階での株価は382.95ドルなので「382ドル」とし、日本円に換算すると1ドル109.38円ですので「109円」とすると、1口買うのにおおよそ「41638円」必要なことになります。

上記の場合、毎月5万円づつ投資に回したいなと思った時、投資信託はきっちり5万円を投資に回せますが、ETFは1口づつ毎月購入は出来ますが、端数が発生してしまいます。
端数があると、せっかくの投資資金を遊ばせている状態になる期間が発生してしまうというデメリットがあります。
また、上記例ですと毎月の投資金額を5万円としているのでまだ月1口継続購入できますが、4万以下だとどうでしょう。2ヶ月置きの積立となり、投資資金を遊ばせている状態の期間が更に増えてしまいます。
この点が「まだお金の少ない人がこれから資産を築いていく為に資産運用する」ことに向いている理由の一つです。

※1)米国市場に上場しているETFは1口単位で購入ですが、現時点では日本市場に上場しているETFの場合は銘柄によって異なります。
例:「iシェアーズ・コア 日経225 ETF(銘柄コード:1329)」は1口から購入可能
  「MAXIS Jリート上場投信(銘柄コード:1597)」は10口から購入可能


分配金自動再投資

ETF・投資信託は年に1回~数回、運用で得た収益、つまりは儲けたお金を投資者に支払います。これを分配金と言います。普通株で言うところの配当金ですね。
投資信託ではこの分配金を自動で再投資するか受け取るかを設定で選択することが出来ますが、ETFでは今のところ選択出来ず必ず受け取ることになります。
受け取った分配金でまた同じETFを買い付ければ結局は分配金再投資出来るのことにはなるのですが、2点問題があります。

①ETFの最低購入金額を超える分配金が発生しなければいけない。
これは「最低購入金額」の所で触れた通り多少まとまったお金が無いとETFを購入できないという点です。
「バンガード S&P 500 ETF(ティッカーシンボル:VOO)」の場合、分配金の発生が年4回ありますが、1口辺りの分配金は1回で1.2~1.4ドルです。
つまり分配金発生のたびに分配金だけで再投資するには、「319口」の保有口数が必要になります。
発生した分配金を貯めておいて購入するにしても結局は、投資資金を遊ばせておく期間が増えてしまいます。

②分配金には税金がかかってしまう。
分配金を受け取ってしまうと所得とみなされてしまう為、NISA口座で無い限り税金がかかってしまいます。また今回はS&P500に投資するETFで書いている為、NISA口座であっても米国側の税金は引かれてしまいます(※2)。自動で再投資してくれれば全額再投資されるので複利の力を得やすいです。

この分配金自動再投資の観点から、長期投資には投資信託の方が良いとされています。
ただ、分配金が支払われることが必ずしも悪い事ではなく、分配金でまた同じ投資信託を買うのか、別の投資先に回すのかを自分で考えることができるので、既にある程度資産を築けている人はこの限りではありません。

※2)米国ETFの分配金には米国側の税金による課税(源泉徴収)と、米国側の所得税分を控除した額に日本国側の税金が課税(源泉徴収)されています。NISA制度は日本国内の税金に対して非課税にはなりますが、米国側の税金分は非課税になりません。

取引手数料

購入・売却の際にかかる手数料ですが、投資信託は購入時手数料がかからないものや(ノーロードといいます)、売却時手数料(解約手数料、信託財産留保額)がかからないものが多いです。
ETFは普通株と同じように各証券会社の設定している買い手数料、売り手数料がかかっていました。。。が、主要ネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券)では、米国ETFのうち「バンガード S&P 500 ETF(ティッカーシンボル:VOO)」を含む一部銘柄の取引手数料が2020年から無料になっています。
「米国上場ETFへの投資を応援!」なんて題しているのでずっと無料なのかはわからないところではありますが、以前はETFには取引時に手数料がかかっていたので、投資信託に優位性がありましたが、現時点で手数料においてはどちらも同じですね。

資金流動性

資金流動性というのは、換金のしやすさのことです。ETFの方は市場で売注文して約定すればすぐお金に換えることができるので資金流動性が高いと言えます。投資信託の場合は売却(解約)注文してから、資金として受け渡されるまで数営業日要します。
ただ、数営業日程度であれば投資信託もETFと比較して高いというだけで、他の資産と比べると資金流動性が低いというわけでもないのでデメリットというほどでもないですね。

4.ETF・投資信託それぞれに向いてる人

ETF、投資信託のメリット・デメリットから、本記事の序盤で書いたそれぞれに向いている人の理由も見えてくると思います。

①ETF
 資産:既にある程度の資産がある人
 目的:もう資産をそこそこ作り終えたお金持ちが定期的に取り崩す手間を省きつつ資産運用する

分配金自動再設定が出来ないという点はETF側のデメリットでしたが、既に資産が多くある人はもう資産運用がほぼ終わっている人なので増やすことに注力しなくてよく、分配金が定期的に発生することで逆に取り崩しの手間が省けます。これは出口戦略を考える手間が減っているという風に言えます。

出口戦略というのは、買った金融商品は売らないとお金として使えないので、いつ・どれぐらい売るのか戦略を考えなければならないのですが、これが不要ということですね。

最低購入金額が高いという点についても投資額がまとまっていれば一回の分配金額が多いので再投資に充てやすいのでクリアしていますし、端数は生活費などに充てればよくなります。

②投資信託
 資産:資産がまだ少額の人
 目的:まだお金の少ない人がこれから資産を築いていく為に資産運用する

10代、20代は資金が少額なので、最低購入金額の低さは助けになります。また、まずは増やしていくことに重きを置かなければならないので、分配金自動再投資で複利と時間の力を強みに毎月着実に増やしていくようにしましょう。

5.おすすめの投資信託

若い人が投資信託の積立をするならどの投資信託が良いかは、もうどこでも言われていることなので、きっと重複してしまいますが、基本はインデックス投資信託で信託報酬が安いものを選ぶということになります。
結局は中田あっちゃんさんがおすすめされていたS&P500に投資する投資信託が良いわけですが、証券会社によっておすすめする投資信託が変わります。

投資信託を買うならどの証券会社が良いかは現在のところ「SBI証券」か「楽天証券」のほぼ2択ですので、それぞれの証券会社でおすすめとなるのは以下となります。

  • SBI証券
    • SBI・バンガード・S&P500 インデックス・ファンド
      <信託報酬>
      0.0938%程度(税込)

      S&P500に投資する国内の投資信託ではこちらの信託報酬が一番安くておすすめです。
  • 楽天証券
    • eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
      <信託報酬>
      0.0968%程度(税込み)

      楽天証券では「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」を取り扱っていないので、こちらの投資信託が良いです。
  • 番外
    • eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
      <信託報酬>
      0.154%程度(税込み)
      <8資産内訳>
      ①国内株式 、②先進国株式 、③新興国株式
      ④国内債券 、⑤先進国債券 、⑥新興国債券
      ⑦国内リート、⑧先進国リート
      こちらは、ある程度資産が積みあがってきた人に良い投資信託です。
      良く投資をする上で資産配分(ポートフォリオ)をうまく分散させてリスクをコントロールする必要があるということが言われています。若く資産が少ないうちはあまり考える必要はないと僕は考えているので最初は上記のS&P500投資信託に全突っ込みでいいんじゃないかなと思っています。
      ですがいずれはポートフォリオを組んだ投資をしていくのはやっぱり必要なので、8資産を12.5%づつ均等に投資してくれるこの投資信託は楽で良いです。
      SBI証券、楽天証券どちらでも購入可能です。

6.おわりに

eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)をおすすめした所にも書きましたが、若いうちはS&P500の投資信託のみに積立投資で良いですが、結局はドル建ての資産なので為替変動リスクを受けてしまいますし、ETFであれば分配金を日本円に換金する際に為替手数料が発生してしまいます。
日本国に住んでいる以上はやっぱり円建ての資産も必要になってきますので、積立投資をしている間に投資について、円建て資産での投資、資産の配分について学んでいかないといけません。

ただ、長期投資は10年のスパンで考えるものなので、10年全て勉強に費やす必要もないです。
流れとしては以下を継続していくのが良いです。

①積立投資を継続する。
②「①」はほったらかしで継続しておいて、仕事で稼ぐ。
③「②」をしている合間に他の投資を学ぶ。

最期に今回はS&P500のインデックス投資をするならETFと投資信託どっちがいいのかと題して書きましたが、はっきり言って投資をしないことに比べれば、ETFでも投資信託でもどっちも正しいです。
結局はなんでも早く始めるのが正義。ということですね。

それでは、以上となります。