Word・ExcelからPDFを出力する4種類の方法

IT作業員Tipsシリーズ!

いつもお世話になっております。
RfromL.comです。

今回はMicrosoft Office Word・ExcelからPDFを出力する方法についてです。

仕事でWord・ExcelファイルをPDF化して送付することがある人も現在では少なくないと思います。昔はPDF出力するために専用のソフトを入れなければできなかったけれど、いまは選択肢が増えて専用ソフトを入れなくてもPDF化できるようになりました。

基本的にはMS-Office(Word・Excel)の「エクスポート」機能で出力するのが良いと思いますが、その他にもPDFで出力する方法があるので今回は4種類のPDF作成方法を紹介します。

各PDF作成方法の手順はWordで説明していますが、Excelの場合も同じ操作で出来ます。また、それぞれの作成方法で出力されるPDFファイルには違いがあるので、何が違ってくるのかは記事の後半で説明していきます。

※この記事の説明で使用しているOfficeのバージョンは「Microsoft Office Home and Business 2016」です。

CONTENTS

1.MS-Office(Word・Excel)の「エクスポート」機能で出力
2.Windows10の仮想プリンター「Microsoft Print to PDF」で出力
3.Chromeの「PDFに保存」機能で出力
4.フリーソフト(PrimoPDF)で出力
 4-1.フリーソフト(PrimoPDF)の導入
 4-2.出力手順
5.各出力機能で作成したPDFの違い
 5-1.ファイルサイズの違い
 5-2.元のファイルからPDFに保持する内容の違い
 5-3.PDFに設定されるタイトルの違い
 5-4.PDFに設定されるタイトルの文字化け
6.まとめ

1.MS-Office(Word・Excel)の「エクスポート」機能で出力

MS-Office2003の頃は無かった機能ですが、2010くらいから搭載されました。これによって、別途PDF出力のソフトを導入する必要がなくなりました。

出力手順

PDF化したいWordファイルを開いて、メニューにある「ファイル」をクリックします。

左のメニューに表示されている「エクスポート」をクリックします。

「PDF/XPSの作成」をクリックします。

ファイル名を入力して「発行(S)」ボタンをクリックすることでPDFが出力されます。




2.Windows10の仮想プリンター「Microsoft Print to PDF」で出力

Windows10からは仮想プリンターとしてPDFに出力する機能が追加されました。Windows10の設定画面からプリンター一覧を表示することで確認できます。

これによってMS-Office以外のExport機能を持っていないソフトウェアでも、印刷機能さえあればPDFを出力できるようになっています。

例えば以下のように、サクラエディタなどでも印刷時に仮想プリンター「Microsoft Print to PDF」を指定することでテキストファイルをPDFにできます。

出力手順

PDF化したいWordファイルを開いて、メニューにある「ファイル」をクリックします。



左のメニューに表示されている「印刷」をクリックします。



プリンターに「Microsoft Print to PDF」を指定して「印刷」ボタンをクリックします。



ファイル名を入力して「保存(S)」ボタンをクリックすることでPDFが出力される。




3.Chromeの「PDFに保存」機能で出力

出力手順

Googleドライブに印刷する対象のファイルをアップロードしておき、ドライブ上で開きます。



印刷アイコンをクリックします。



「変更…」ボタンをクリックします。



印刷先に「PDFに保存」を選択します。



「保存」ボタンをクリックします。



ファイル名を入力して「保存(S)」ボタンをクリックすることでPDFが出力される。




4.フリーソフト(PrimoPDF)で出力

PDFを出力可能にするフリーソフトにはいくつか種類がありますが、今回はPrimoPDFを使います。Office2003の頃だと、これを使ってPDF化していました。

日本語版はエクセルソフト株式会社で公開されているので、そちらからダウンロードします。
※ダウンロードページにも記載されていますが、Microsoft .NET Framework 2.0 以上がインストールされている必要があるので、インストールされていなければ事前に入れておく。PrimoPDFのインストーラーにはMicrosoft.NET Framework が入っているか確認し、自動でインストールする機能があるようですが、現在はMicrosoft.NET Frameworkのインストールで、エラーとなってPrimoPDFインストーラーが途中で終わってしまいました。なのでMicrosoftのダウンロードセンターから自分で探して入れないといけないみたいです。

上記のサイトでなくても「PrimoPDF」で検索すれば、窓の杜とかVectorとかのダウンロードサイトがでてくるのでそっちからもダウンロード出来ます。日本語版とか、バージョンとかは気にした方がいいですが。

4-1.フリーソフト(PrimoPDF)の導入

ダウンロードサイト等から取得したインストーラーを起動します。



「ようこそ」画面では「次へ(N) >」ボタンをクリックします。



「本使用許諾契約の条件に同意します。」を選択して「次へ(N) >」ボタンをクリックします。



「次へ(N)>」ボタンをクリックします。



ユーザー情報の入力を促されますが、すべて空欄でも「次へ(N)>」ボタンをクリックで次へ進めます。



このタイミングで以下のようなダイアログがでることがあります。

パソコンにAdobe Acrobat ReaderなどのPDFviewerがインストールされていない場合に出てくるダイアログと思われます。
最近ではブラウザ(Microsoft Edge、Chromeなど)にPDFを閲覧する機能が標準で入っており、上記のようなPDFviewerが不要となっているのでPDFviewerをパソコンに入れていない人がそこそこいそうです。なので、このダイアログが出る人もちらほらいるんじゃないかと。
※Windows8では「Reader」というPDFを閲覧するソフトが標準で入っていましたが、それもMicrosoft Edgeに機能を集約されたため無くなりました。

PrimoPDF日本語版はWindows7時代のものなので、こういうダイアログがあるのでしょう。PDFviewerが不要な今となっては無視して「いいえ(N)」ボタンクリックで大丈夫です。



「完了(F)」ボタンをクリックしてインストールは終了です。

4-2.出力手順

PDF化したいWordファイルを開いて、メニューにある「ファイル」をクリックする。



左のメニューに表示されている「印刷」をクリックします。



プリンターに「PrimoPDF」を指定して「印刷」ボタンをクリックします。



PrimoPDFの画面が表示されるので「PDFの作成」ボタンをクリックすると、PDFが出力されます。



「文書のプロパティ」欄は、出力するPDFファイルのプロパティを設定することができます。タイトルを空欄にすると、出力元のアプリケーション名+ファイル名(今回の場合「Microsoft Word – Word.docx」)が自動で設定されます。



「PDFのセキュリティ」欄は、出力するPDFファイルにパスワードなどのセキュリティ情報を設定することができます。



5.各出力機能で作成したPDFの違い

出力方法の違いによって作成されるPDFにはいくつかの違いがあります。ここからは、それぞれの違いについて説明します。ただ、あまり気にするほどの違いではないので、知らなくても問題は無いと思います。

5-1.ファイルサイズの違い

どれも元のWordファイルよりサイズが大きくなるのは同じですが、異なる出力方法によって作成されたPDFはサイズも全て違います。各出力方法の手順説明で実際に出力したファイルのサイズを見てみると、Exportで出力したPDFが一番小さくなっています。

ところが、以下のようにWord特有の機能(目次をクリックすると該当の箇所にジャンプする機能)が設定されたファイルをPDF出力した場合はまた変わってきます。



出力したPDFファイルのサイズを見ると、今度はChromeの出力ファイルが一番小さくなっています。

5-2.元のファイルからPDFに保持する内容の違い

同じファイルをPDF化しても、出力方法によってPDFの内容が変わる場合もあります。内容といっても、文章内容自体が変わるわけではなくフォント等の書式情報など表示のされかたです。出力元のWordファイルの内容と、それぞれの出力方法で作成したPDFファイルを開いて内容を見比べてみると違いがあることがわかります。

出力元のWordファイル

Exportで出力したPDFファイル

見た目上、元のWordファイルと同じ内容を保持しています。文字列を選択してみるとスペースを入力した箇所は選択による青色マーカーが途切れています。

Chromeで出力したPDFファイル

元のWordファイルと比べると、フォント等の書式情報は大分変わってしまっています。特に目次部分は「……」の箇所が全部消えてしまってます。また文字列を選択した際の青色マーカーはがたがたに表示されます。

Microsoft Print to PDFで出力したPDFファイル

見た目上は、元のWordファイルと全く同じです。文字列を選択した際の青色マーカーは半角スペースの箇所も含め綺麗に表示されます。

PrimoPDFで出力したPDFファイル

こちらも見た目上は、元のWordファイルと全く同じです。文字列を選択した際の青色マーカーはExportで出力したものと近い感じのようですが「iPhone 標準の」の「iPhone」と「標準」の間にある半角スペースや「google ドキュメント」の「google」と「ドキュメント」の間にある半角スペースでは途切れておらず、若干の違いがあるようです。

それぞれを見比べてみた結果、フォント等の書式情報はChrome以外であれば元の情報を保持するようです。文字列を選択した際の青色マーカー表示範囲は全部異なっていましたが、実際にコピーして貼り付けると半角スペースもちゃんとコピーされます。ただこれもChromeでは保持されませんでした。またWord特有の機能である、目次をクリックすると該当の箇所にジャンプする機能はExportで出力したPDFのみ機能が保持されていました。

5-3.PDFに設定されるタイトルの違い

以下が各出力方法で作成したPDFを開いたときに表示されるタイトル。
上から順番に、Chrome、Export、Microsoft Print to PDF、PrimoPDFとなっています。

Chrome で出力したPDFファイル


Export で出力したPDFファイル


Microsoft Print to PDF で出力したPDFファイル


PrimoPDF で出力したPDFファイル



これを見ると、ChromeとExportは出力したPDFファイル名がそのままタイトルとして設定されているのに対し、Microsoft Print to PDFとPrimoPDFで出力したPDFは、出力したアプリケーション名(Microsoft Word)と 出力元ファイル名(Word.docx)を – (ハイフン)を繋げてタイトルに設定される。

ただPrimoPDFに関して言えば、PrimoPDFの出力手順の最後に説明したプロパティで設定しておけば、任意のタイトルを表示できます。



ChromeとExportでも、PDFファイル名を変更すればタイトルも同様に変更されます。試しに先程表示したファイルに対し、以下のようにファイル名を変更して再度表示してみます。

先ほどと同様に上からChrome、Export、Microsoft Print to PDF、PrimoPDFの順で表示します。

Chromeで出力したPDFファイル



Exportで出力したPDFファイル



Microsoft Print to PDF で出力したPDFファイル



PrimoPDF で出力したPDFファイル



このようにChromeとExportは、タイトルにファイル名(拡張子.pdfまでを含む)を表示するように設定されていますが、Microsoft Print to PDFとPrimoPDFはタイトル情報を別に保持しているのでファイル名を変更しても、タイトル表示は変わりません。

5-4.PDFに設定されるタイトルの文字化け

ここまで説明に使用したファイルは、出力元のファイル名が「Word.docx」とアルファベットのみでしたが、このファイル名に日本語が使用されているとPDFに設定されるタイトルが文字化けすることがあります。

実際に以下のようにファイル名に日本語が含まれたWordファイルからPDFを作ってみます。



改めてそれぞれの方法でPDFを出力しました。



表示してみると以下のようになります。

Chrome で出力したPDFファイル

Export で出力したPDFファイル

Microsoft Print to PDF で出力したPDFファイル

PrimoPDF で出力したPDFファイル

「5-3.PDFに設定されるタイトルの違い」でも説明したように、ChromeとExportはファイル名をそのままタイトルとして表示するようにしている関係か文字化けは起こしていません。しかし、Microsoft Print to PDFとPrimoPDFで出力したPDFは日本語部分が文字化けしていまっているのが分かります。
(PrimoPDFは文字化けとは少し違うような気もしますが。)

日本語を含むファイルを文字化けせずに出力したい場合は、ChromeかExportを使うのがよさそうです。ただ、PrimoPDFに関しては出力時の際、プロパティのタイトルに任意のタイトルを設定しておけば、日本語でも文字化けせずに表示できます。

実際に日本語を含んだタイトルを設定して出力してみます。



出力ファイル名は、タイトルと異なる名称で保存しました。



表示してタイトルを確認すると、文字化けせずに表示できることがわかります。



ここまでは自分でPDFを作る場合ですが、他人からもらったPDFや既に用意されているPDFが開いてみるとタイトルが文字化けしていることがあります。そんな時はChormeを使い、タイトル情報を消してしまうことで文字化けを解消することもできます。手順としては、WordファイルをChromeでPDFにした時と同じです。

タイトルが文字化けしているPDFをChromeで開いて印刷アイコンをクリックします。



送信先に「PDFに保存」を選択して「保存」ボタンをクリックします。



「名前を付けて保存」の画面が表示されますが、文字化けしたタイトルが初期状態として設定さています。



文字化けしているファイル名を変更します。



PDFファイルが出力されます。



Chromeで改めて作成し直したPDFファイルを表示すると、ファイル名がタイトルとして表示されるようになります。




6.まとめ

MS-Office(Word・Excel)からPDFを作成する場合は、最初に書いたようにエクスポート機能を使用するのが一番良さそうです。主な理由は余計なソフトを入れる必要が無い、ファイル名に日本語が含まれていても文字化けしない、Word特有の機能をPDFでも保持できる。という点です。

場合によっては、他のPDF出力方法を選択する方が良い時もあります。

Word特有の機能を使用したファイルをPDF化する際、PDFでも同様の機能を保持する必要がなく、文章がちゃんと読めれば良いという程度でファイルサイズを小さくしたい時はChrome。

出力したPDFのファイル名をあとから変更しても、タイトルの表示を一定に保持したい時はプロパティ設定して、PrimoPDF。

余計なソフトをインストールしたくない、出力したPDFの文字列を選択した時のマーカーを綺麗に表示したい時はMicrosoft Print to PDF。

といった感じで、その時の状況によって使い分けるということも考えてみてはどうかなと思います。

以上です。
宜しくお願い致します。